「お母さん、そろそろ施設を考えた方がいいかな」と思い始めたとき、多くの人が最初に壁にぶつかるのが情報の少なさです。
特別養護老人ホーム(特養)は、介護保険施設の中でも費用が比較的安く、手厚いケアが受けられる施設として知られています。
しかし実際に申し込もうとすると出てくる疑問・・
- どこに連絡すればいいのか?
- 何人待ちなのか?
- そもそも入れるのか?
私自身、認知症の母が要介護3の認定を受けてから特養への申し込みを経験しました。
その過程で知ったのは、横浜市内で要介護3以上の認定を受けている方は約6万5千人以上いるにもかかわらず、実際に特養へ申し込んでいるのはわずか約6.5%(4,259人)にすぎないという現実です。
この記事では、公式データをもとに横浜市の特養の待機実態をわかりやすく解説します。
「申し込みが怖い」「まだ早いかも」と迷っている方に、ぜひ読んでいただきたい内容です。
- 横浜市の要介護3〜5の認定者数(最新データ)
- 特別養護老人ホームの入所申込者数と待機の実態
- 申し込んでいない約9割の人はどこにいるのか
- 「申し込まない」ことのリスクと、早めに動くべき理由
- データの出典(公式ソース)
要介護3〜5:横浜市に65,000人以上

横浜市が公開しているオープンデータによると、2024年度末時点の要介護3〜5の認定者数は以下のとおりです。

令和6年
| 要介護度 | 認定者数 |
|---|---|
| 要介護3 | 26,597人 |
| 要介護4 | 24,042人 |
| 要介護5 | 15,146人 |
| 合計 | 65,785人 |
データ元:横浜市オープンデータ「要介護認定者の推移(平成12年度から令和6年度)」 政策経営局 総務部 統計情報課
https://www.city.yokohama.lg.jp/city-info/yokohamashi/tokei-chosa/portal/opendata/kaigo01.html
6万5千人以上・・
横浜市の人口が約377万人であることを考えると、60人に1人以上が要介護3以上という計算になります。
特養に申し込んでいるのは4,259人で、約6.5%

一方、横浜市が2025年10月に公表した「特別養護老人ホーム入所申込者の状況」によると、市内在宅の入所待ち者数(要介護3以上)は4,259人です。
あきな65,785人のうちの4,259人
割合にすると約6.5%


特別養護老人ホーム入所申込者の状況 横浜市健康福祉局 高齢健康福祉部 高齢施設課 「特別養護老人ホーム入所申込者の状況<区別>(令和7年10月1日現在)」 https://www.city.yokohama.lg.jp/kenko-iryo-fukushi/fukushi-kaigo/koreisha-kaigo/shisetsu/shisetu-annai/tokuyou.files/0070_20251003.pdf
つまり、要介護3以上の認定を受けている方のうち、約93%は特養に申し込んでいないことになります。
申し込んでいない9割の方は、どうしているのか?


「申し込んでいない=困っていない」ではありません。
大きく分けると、以下のような状況が考えられます。
すでに何らかの施設に入所している
特養以外にも、有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)、介護医療院などがあります。
費用は高くなりますが、空きがあればすぐ入れる施設も多くあります。
在宅介護で対応している
デイサービスや訪問介護などを組み合わせながら、自宅で介護を続けているケースです。
家族が介護を担っていることが多く、介護者への負担は相当なものになります。



先の見えない介護の出口・・
申し込み方がわからない、情報が届いていない
特養への申し込みは、横浜市の場合「特別養護老人ホーム入所申込受付センター」を経由して行いますが、その存在自体を知らない方も少なくありません。
ケアマネさんから案内されて初めて知る、というケースも多いようです。
「まだ早い」と思っている
要介護3になったばかりで、「今すぐ施設に入れるわけじゃないし」と申し込みを先送りにするケースです。
しかし特養は申し込みから入居まで平均7〜8か月かかるのが現状(2024年度実績)。
早めに申し込んでおくことが重要です。
平均待ち月数の推移—11か月から7か月へ、確実に短縮されてる


横浜市の公式データによると、特養に入所した人の平均待ち月数は下記のように推移しています。


見やすく表にしてみます
| 年度 | 平均待ち月数 |
|---|---|
| 平成30年度(2018年度) | 11か月 |
| 令和元年度(2019年度) | 11か月 |
| 令和2年度(2020年度) | 10か月 |
| 令和3年度(2021年度) | 10か月 |
| 令和4年度(2022年度) | 9か月 |
| 令和5年度(2023年度) | 8か月 |
| 令和6年度(2024年度) | 8か月 |
| 令和7年度(2025年度) | 7か月(見込み) |
| 令和8年度(2026年度) | 6か月(目標値) |
2018年度には11か月かかっていた待機期間が、2024年度には8か月まで短縮されています。
これは横浜市が施設整備を積極的に進めてきた成果で、2025年10月時点で市内の特養は174か所・定員18,287人にまで拡大しています。
ただし「平均7〜8か月」というのはあくまで平均値です。
要介護度が高いほど優先度が上がる仕組みになっているため、要介護5の方は比較的早く入居できるケースもあれば、要介護3で在宅生活が続けられると判断された場合は1年以上かかることもあります。
また、この「平均待ち月数」は実際に入所できた人の数字です。
申し込んだまま入所に至らなかった方(亡くなった方、他施設に入った方など)は含まれていません。
そのため、実態としての待機期間はこの数字より長い可能性もあります。
施設別の待機者数 200人待ちは珍しくない


「平均8か月」という数字を見て安心した方に、もうひとつ知っておいてほしい現実があります。
特養の待機者数は施設によって大きく異なります。
私が申し込んだ5か所のうち、1か所は200人以上の待機者がいました。
最初にその数字を聞いたとき、正直「これは無理かも」と思いました。
ただ、ケアマネさんからこんな話を聞きました。
「待機者が多くても、亡くなる方や他の施設に移る方も多いので、思ったより順番は回ってくる」
そのさまざまな理由
- 待っている間に亡くなる方
- 体調が急変して病院や他施設に移る方
- 家庭の事情が変わって取り下げる方
少し言葉は悪いかもしれませんが、これが特養の現実です。
つまり「200人待ち=200か月待ち」ではありません。
実際に私の母は200人以上待ちの施設を含む5か所に申し込んで、約8〜9か月で入居が決まりました。
とはいえ、これはあくまでも結果論です。
早めに複数施設へ申し込んでおくことが、やはり最善の備えです。
安心介護紹介センター 施設別待機者数(横浜市内)
「早めに申し込む」ことの重要性


私の母の場合、要介護3の認定が出た2025年5月に特養の申し込みを行い、2026年2月に入居が決まりました。
約8〜9か月です。
振り返ってみると、申し込みのタイミングがもう少し遅かったら、入居まで1年以上かかっていたかもしれません。
特養は「入りたいと思ったときにすぐ入れる場所」ではありません。
申し込みは早ければ早いほどいい、というのが実感です。
また、横浜市の場合は複数施設への同時申し込みが可能です。
私は5か所に申し込み、3か所で見学を行い、最終的に1か所に入居しました。
1か所だけに絞る必要はありません。
【まとめ】数字で見えた要介護者と特養の現実


特別養護老人ホームへ申し込みをためらう理由
- まだ自宅でみられる
- 自分がやらなきゃ
- どうせ入れない
- お金がかかる
いくらでも出てきます。
私がそうでした。
でも、認知症の介護は少しずつではなく、ある日突然限界を超えます。
徘徊、糞尿、夜中の騒ぎ……気づいたときには、親だけでなく介護している自分も、家族も、じわじわと追い詰められています。
共倒れになりそうなその瞬間に「さあ施設を探そう」と動き出しても、特養はすぐには入れません。
申し込みは、施設に入れることを決めることではありません。



「もしものときの備え」をしておきましょう
申し込んだからといって、必ず入居しなければならないわけでもありません。
順番が来たときに断ることもできます。
まず1歩、申し込みだけでもしてみてください。
その1歩が、あなたを守ってくれますよ。
- 横浜市の要介護3〜5の認定者は約65,785人(2024年度末)
- そのうち特養に申し込んでいるのは4,259人(約6.5%)
- 申し込んでいない約9割の方は、他施設入所・在宅介護・情報不足・先送りなどの状況にある
- 特養の平均待機期間は7〜8か月(2024年度実績)早めの申し込みが重要
- 施設によって待機者数は大きく異なり、200人以上待ちの施設も珍しくない待機者数が多くても、亡くなる方・他施設へ移る方もいるため、数字ほど待たないケースも多い
- 横浜市では複数施設への同時申し込みが可能 要介護3の認定が出たらすぐ動くべき

